【行政書士法改正と入管手続き】2026年1月1日から何が変わったのか?

エキスパット

日本国内における深刻な人手不足を背景に、外国人材の雇用や日本での在留を希望する外国人の数は増加の一途をたどっています。政府は、「特定技能」と新制度「育成就労」による外国人材の受け入れについて、2028年度末までに上限123万人とする方針を閣議決定しました。

外国人材を“一時的な労働力”ではなく、中長期的に日本で活躍できる人材として育成・定着させる方向へと制度が大きく動いています。

こうした中、在留資格(ビザ)の申請や更新、永住権・帰化手続きの実務において、極めて重要となる法改正が実施されました。

令和7年(2025年)の通常国会にて成立した「行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)」が、2026年(令和8年)1月1日より施行されました。今回の改正は、外国人を受け入れる企業や、日本に在留し次回のビザ更新を控えている外国人の方々にとって、手続きの進め方や依頼先の選定基準を根本から変える重要な転換点となっています。何がどのように変わり、どのような対策が必要なのかを、当事者目線に絞って分かりやすく解説します。


受け入れ企業が直面するコンプライアンス危機 – 紹介会社や支援機関への「丸投げ」の危険性

外国人材を採用している企業が最も警戒すべき変更点は、行政書士資格を持たない事業者による「入管申請書類の作成代行」に対する規制の厳格化です。

これまで、一部の登録支援機関や人材紹介会社、コンサルティング企業などが、自社のサービスの一環や「コンサルティング費用」「翻訳・サポート料」といった名目のなかに含める形で、実質的に在留資格の申請書類を作成するケースが散見されました。しかし、2026年1月1日の法改正によって、行政書士法第19条(業務の制限)に「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」という文言が明確に追加されました。

これにより、どのような名目を掲げていようとも、対価(お金)を受け取って行政書士以外の者が官公署へ提出する書類を作成する行為は、完全に違法であることが決定づけられました。

  • 登録支援機関への委託料に含まれる書類作成はNG: 特定技能の「月額支援委託費」等を支払っていることを理由に、登録支援機関が自社でビザ申請書類や理由書を作成することはできません。これらはすべて行政書士法違反(無資格者による書類作成)とみなされます。
  • 「両罰規定」による企業のコンプライアンスリスク: 今回の改正では、違反した行為者本人だけでなく、その所属法人にも罰金刑が科される「両罰規定」が整備されました。これにより、企業には従業員が勝手に書類作成代行を行わないよう、徹底したコンプライアンス教育が求められることになります。そして万が一、違法に作成した書類が入管法上の不正行為と認定されれば、受け入れ企業もペナルティを負うリスクが高まります。

受け入れ企業としては、現在委託している会社が「法改正に適合した運用を行っているか(行政書士等の有資格者が実際に書類を作成しているか等)」を早急に監査し、適法な手続き体制を構築する必要があります。


在留外国人の方が注意すべきポイント – 次回の更新で「不法な代行業者・ブローカー」を選ばないために

日本に住んでいて、近いうちに在留期間の更新や、在留資格の変更(転職や結婚など)、永住・帰化の申請を控えている外国人の方々にとっても、今回の法改正は無関係ではありません。

インターネット上やSNSなどでは、「格安でビザ申請を代行します」「書類作成をサポートします」と謳う無資格のブローカーやコンサルタントが存在することがあります。彼らの多くは「行政書士」の国家資格を持っておらず、トラブルが発生した際にも一切の責任を取ってくれません。

2026年1月1日以降は、こうした無資格の業者にお金を支払って書類を作ってもらうこと自体が、より厳しく取り締まりの対象となっています。

  • 「翻訳料」や「相談料」という言葉に騙されない: 「翻訳料」「相談料」「コンサルティング料」といった名目で、実際には申請書や理由書をすべて作ってくれるような無資格の業者は違法です。
  • 正しい専門家の見分け方: 依頼をする前に、必ずその担当者が「行政書士(または弁護士)」の資格を持っているかを確認してください。特に、申請取次者として登録された専門の行政書士であれば、在留諸申請や在留カードの記載事項変更等の手続において、ご本人が地方出入国在留管理局へ出頭することなく、代理で手続きを行うことが可能です。

次回の更新をスムーズに成功させ、日本での生活を安心して続けるためにも、信頼できる専門の行政書士に直接相談するようにしてください。


万が一の不許可でも諦めない – 特定行政書士による「不服申立て」の代理範囲が拡大

今回の法改正におけるもう一つの大きな変更点は、外国人本人や雇用企業にとっての救済措置が強化された点です。

万が一、自分たちで行ったビザ申請や帰化申請が「不許可」になってしまった場合、その決定に対して「行政不服申立て(審査請求など)」を行うことができます。これまでは、特別な資格を持つ「特定行政書士」であっても、自分が最初から作成に関与していた書類でなければ、この不服申立ての代理人になることができませんでした。

しかし、2026年1月1日からは、特定行政書士が代理できる範囲が、行政書士が「作成することができる」すべての書類に拡大されました。

  • 後からでも専門家による救済が可能に: 自分で申請して不許可になってしまった場合や、別のルートで申請して失敗してしまった場合でも、後から「特定行政書士」に依頼することで、不服申立て手続きの代理をしてもらうことが可能になりました。
  • 迅速かつ高度な法的主張: 入管の決定を覆すためには、「構成力」や「根拠」といった極めて高度な法的論証が必要です。不当な処分や誤解による不許可に対して、手続きの専門家である特定行政書士が強力なサポートに入れるようになったことは、雇用企業や外国人にとって非常に大きなメリットとなります。

まとめ:適法で確実な手続きが日本での安定した基盤を作る

2026年1月1日の改正行政書士法の施行により、入管手続きにおける「誰が書類を作っているか」というプロセスへのチェックは、これまで以上に厳格に行われています。

外国人を受け入れる企業の担当者様は、自社の委託先や手続きプロセスが法律を遵守しているかを今一度点検し、コンプライアンスの強化を図ることをお勧めいたします。また、在留外国人の方々は、大切なビザの更新や永住・帰化の申請を確実に成功させるため、違法なブローカーを避け、正規の「行政書士」へ依頼することが重要となります。

当事務所では、改正法を完全に遵守した適法かつクリーンな体制のもと、人事担当者様の業務負担軽減と、外国人の方々の日本での安定した在留資格維持を強力にバックアップいたします。次回のビザ更新や外国人雇用に関するコンプライアンス対策に少しでも不安がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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